サブタイトル
資質・能力を育てる学習評価のあり方
~学校現場の悩みと工夫を踏まえて~
特集内容
現行学習指導要領では、各教科等の目標や内容を、「知識及び技能」、「思考力、
判断力、表現力等」、「学びに向かう力、人間性等」という資質・能力の三つの柱で
整理している。これを踏まえて、観点別学習状況評価についても、「知識・技能」、
「思考・判断・表現」、「主体的に学習に取り組む態度」の3観点で実施することと
なった。「指導と評価の一体化」の観点から、学習評価は重要な役割を担っているも
のの、具体的にどのように評価していけばよいのか、戸惑いの声が挙がっている現状
がある。
「教育シンポジウム in 東京2023」では、学習評価の目的や基本的な考え方につい
て解説するとともに、具体的な評価方法やその工夫改善について、実践例を交えて議
論がなされた。
目次等
【基調講演①】
「資質・能力の育成に向けた指導と評価 ~観点別学習状況評価のねらいと方法~」
市川 伸一 東京大学名誉教授
帝京大学中学校・高等学校 校長
【基調講演②】
「コミュニケーションとしての評価 ~子どもをみつめる教師の営み~」
奈須 正裕 上智大学総合人間科学部教育学科 教授
【トークセッション】
「資質・能力を育てる学習評価のあり方 ~学校現場の悩みと工夫を踏まえて~」
コーディネーター:市川 伸一
パネラー:奈須 正裕
本田 治子 東京都目黒区立大岡山小学校
小学校における悩みと工夫
小柳 美智江 神奈川県横浜市立茅ケ崎中学校
中学校における悩みと工夫
取材概要等
開催方法:オンデマンドによる動画配信
配信期間:令和5年3月13日(月)12:00~31日(金)20:00
主 催:公益財団法人 中央教育研究所
後 援:東京都教育委員会,茨城県教育委員会,
神奈川県教育委員会,群馬県教育委員会,
埼玉県教育委員会,千葉県教育委員会,
栃木県教育委員会,長野県教育委員会,
新潟県教育委員会,山梨県教育委員会,
株式会社時事通信社
協 力:株式会社学習調査エデュフロント,
東京書籍株式会社
内容紹介
(本文より)
学習指導要領の改訂によって教育目標が変わったわけですから、それに連動して指
導と評価も変わっていくということが、非常に大切です。学習指導要領の基本的な路
線は変わっていませんが、学びに向かう力、学びの進め方という新しい視点が入って
きていますので、従来どおりの授業を行って、そこに新たな評価方法を適用するわけ
ではないことに注意が必要です。特に、今回の改訂で新しく出てきたキーワードであ
る「自己調整」、つまり、自分で自分の学習を工夫して改善していくことを意識した
学習と、それをうながす指導が必要になってきます。
(市川)
総括的評価は、客観的かつ公正であることがとても大事です。そのため、一律での、
エビデンスに基づいた厳密な評価が必要になることも多いかと思います。
一方、形成的評価は、帳簿を付けるために行うのではありません。子どもの学習状
況を把握して、それに基づいて学習を改善・形成したり、先生方がご自身の授業を振
り返って改善したり、あるいはカリキュラムを改善したりするために行うものです。
そうなってくると、見取る情報や評価活動の在り方も変わってきます。
(奈須)
授業を進める中で、資料を分析し、図や表を本文に当てはめていくだけでなく、筆
者の意図を捉えつつ、さらにこの図を入れたら本文がよりわかりやすくなるのではな
いかという新たな提案をした子どもがいました。「根拠をもって説明できていればA」
という教師たちの想定を超えた子どもの姿に、学習の深まりを感じました。これもま
た、主体的に取り組む態度として評価し得るものだと考えます。
(本田)
私のこれまでの評価軸は、ノートに学習内容がきちんと書かれているか、あるいは、
学習内容について興味をもったことを調べているか、自己評価や感想を書いているか
ということでした。しかし、この実践では、「理解したことや大事だと考えたことが
自分自身の言葉で書いてあるか」、「必要に応じて教科書の内容から補足を書いてい
るか」、「課題について考えたことや交流して気付いたこと、そこから改めて考えた
ことが書いてあるか」、「自己評価や感想が書いてあるか」が評価軸になりました。
(小柳)
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