サブタイトル
新学習指導要領に向けた授業改善
―「主体的・対話的で深い学び」で変わること、変わらないこと―
特集内容
新学習指導要領での重要なキーワード「主体的・対話的で深い学び」が目指すの
は、どのような「学び」か。その「学び」を実現するための授業で、変わること、
変わらずに受け継ぐべきことは何か。
教育シンポジウム in 東京 2018 総合プログラムでは、新学習指導要領のコンセ
プトを子どもの「学び」の姿に沿って検討し、授業への指針を明らかにしようと、
学習指導要領の変遷と主旨を理解する全体会と、関心の高いテーマによる四つの分
科会で構成した。
本号は「分科会編」として、「小学校外国語」、「道徳」、「カリキュラム・マ
ネジメント」、「特別支援教育」の四つのテーマ別に、研究者、実践者による示唆
に富んだ講演の模様をレポートする。
目次等
【分科会① 小学校外国語】
「これからの日本の英語教育 ~CLIL(内容言語統合型学習)を通して~」
山野 有紀 宇都宮大学教育学部 准教授
「オリンピックエンブレムの実践を通して」
松浦 好尚 栃木県宇都宮市立西原小学校 教諭
【分科会② 道徳】
「道徳科の特質に基づいた本校の実践について」
上原 弘道 東京都荒川区立第三瑞光小学校 教諭
齋藤 誠 東京都荒川区立第三瑞光小学校 主任教諭
「道徳科の実施を迎えて ~道徳科の特質に基づく授業づくりと評価~」
吉本 恒幸 聖徳大学大学院 教授
【分科会③ カリキュラム・マネジメント】
「カリキュラム・マネジメントの課題と方法」
根津 朋実 筑波大学人間系(教育学域) 准教授
【分科会④ 特別支援教育】
「発達に特徴のある子ども達の理解」
宮本 信也 白百合女子大学人間総合学部 教授/
筑波大学 副学長・理事、附属学校教育局 教育長(開催時)
「通常学級でできる、発達につまずきのある子どもを輝かせる授業と学級経営」
川上 康則 東京都立矢口特別支援学校 主任教諭
取材概要等
日時:平成30年2月10日(土)
会場:東京都北区立王子桜中学校・王子小学校
主催:公益財団法人 中央教育研究所
後援:東京都教育委員会,茨城県教育委員会,
神奈川県教育委員会,群馬県教育委員会,
埼玉県教育委員会,千葉県教育委員会,
栃木県教育委員会,長野県教育委員会,
新潟県教育委員会,山梨県教育委員会,
東京都北区教育委員会
㈱時事通信社,東京教育研究所,
㈱学習調査エデュフロント
内容紹介
(本文より)
CLILには「四つのC」と呼ばれる重要な要素があります。言語(Communication)の
知識を、本物の内容(Content)で子ども達の学びをうながし、思考(Cognition)する
ことで深い学びにいざないながら、協同学習・相互文化理解(Community/Culture)を
進めていく学習です。CLILは、この「四つのC」を組み合わせた教育実践で、主体
的・対話的で深い学びをうながし、自律的学習者の育成を目指す外国語教育です。
(山野)
授業ではその1時間で扱う道徳的価値についての子ども達一人一人の理解を深め、
その理解を基盤として自己を見つめるということです。(中略)いろいろな考えを
取り入れ、それによって自分の考えを深め、広めていこうということが、即ち、今
回の改訂のキーワードである「主体的・対話的で深い学び」に通じます。(中略)
考えを深めた結果として「道徳的な判断力、心情、実践意欲と態度」という内面的
な資質を養っていくことが最終目標なのです。
(吉本)
カリキュラム評価とは、データに基づいた計画や実践の振り返り、点検をするこ
とです。
(中略)
カリキュラム評価をするには、調査活動及びそれによって得られるデータが必須
です。その場合のデータは数値とは限らず、先生方の証言やメモなど日々の記録の
蓄積が重要となります。(中略)ただし、一人で行った評価は「独断と偏見」にな
りがちです。そのため、複数の人間でいろいろな見方をもち寄って判断すること、
そしてそのような場をどう設定するかが課題だと思います。
(根津)
発達障害は伝わる特徴の種類と程度、環境の影響によって、完全に典型的な状態
からその一部だけという状態まで様々な場合があります。ですから、発達障害の診
断にあまりこだわる必要はありません。(中略)必要なことは、診断名に関係なく、
教育のアセスメントと、そのアセスメントに基づいた適切な対応をすることです。
(宮本)
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